愛知県弁護士会が実施する相続専門相談においては、その相談員として登録するために、毎年、相続専門研修を受講し続けることが必要です。
ここで、具体的に、どのような研修が行われているかを紹介します。
研修は、通常の講師が一方的に情報を伝えるというものでは、受講者が本当に聞きたい内容とズレが生じることがあります。また、その内容を単に講師任せというのではなく、研修センター専門部会の相続専門研修チームが研究発表をし、その結果を踏まえ、講師とディスカッションをする形式をとることで、本当に意味のある、聞きたい研修を実現できるよう工夫しています。
また、単に、講義を受け身で聞くだけでなく、能動的に参加して専門性を高めるため、事例検討会をゼミ形式で行い、具体的な事例を、参加者で議論するという研修を行っています。
研修チームも若手・ベテランを交え、今後の専門研修を継続的に実施できるよう、チーム員自身の研鑽・スキルアップを図り、研修を充実させるため、研修に研究発表の場を設けたり、対外的なセミナーの講師を担うなどの工夫を行っています。
いずれも、準備は非常に大変ではありますが、今までの研修の規模をはるかに超える受講者が集まり、実際に受講した方によるアンケート結果は非常によく、今後も、よりよい研修を行ってまいりたいと思っております。
相続専門相談に所属しない弁護士も含む愛知県弁護士会所属会員は、1800名です。このうち、この研修参加者は、毎回250人〜400人。所属会員の20%が参加するという、非常にたくさんの方が参加されている研修です。当会の行なう研修の中でも、最大規模の研修となっております。
愛知こそ相続の専門家の弁護士を多数有する地域と評判になり、全国から依頼が来るという時代を夢見て、努力して参りたいと思っています。
昨今,最新の法制・判例について,裁判所から代理人の理解不足が散見されるとの指摘があるところです。相続専門相談を担当する弁護士としては,最新の法制と最新の判例を理解することが不可欠であるところ,平成後期には,最高裁で,生命保険金の特別受益性に関する判断をはじめとした相続の現場に大きな影響を与える規範を数多く示され,かかる最高裁の規範を前提に,下級審での具体的な事案の蓄積がなされてきました。
そこで今回は,令和の新時代を迎えることを機に,名古屋地方裁判所の裁判官と名古屋家庭裁判所の裁判官をパネリストとしてお招きし,田中健人会員を加えた3名によるディスカッション形式で,平成後期の重要判例を振り返り理解を深めました。
パネリスト 名古屋家庭裁判所 柳本つとむ裁判官
名古屋地方裁判所 谷池厚行裁判官
愛知県弁護士会専門部会 田中健人委員
コーディネーター 同 平松達基委員
遺産分割には様々な財産が登場します。その中には預貯金などのようにその価額が一見して明らかな財産もあれば,価額が必ずしも明らかではない財産もあります。皆様のなかにも,遺産分割の場において,こうした定まった価額のない財産の評価が争点となった経験をされた方は多いのではないのでしょうか。
そこで,今回の研修では,定まった価額のない財産の代表例といえる不動産及び株式その他有価証券に関し,それぞれの専門家及び名古屋家庭裁判所裁判官をパネリストとしてお招きして,武田鉄平会員がコーディネーターを務めるパネルディスカッションを行いました。パネルディスカッションでは,これらの財産の評価方法だけではなく,その根底にある考え方や評価を変動させる要因としてはどのようなものがあるかについても議論いたしました。
パネリスト 名古屋家庭裁判所 柳本つとむ裁判官
日本ヴァリュアーズ株式会社 小田賢治不動産鑑定士
かがやきコンサルティング株式会社 岡本和也
コーディネーター 愛知県弁護士会専門部会 武田鉄平委員
愛知県弁護士会調査室調査室員を務める弁護士 磯貝 隆博(磯貝・宇佐美法律事務所)先生にご講演いただきました。
弁護士の証拠収集方法として重要な弁護士会照会(弁護士法23条の2)は、相続事案においても相続人の確定や相続財産確定などの場面で利用されることがあります。他方、相続案件においては、相続人であれば弁護士会照会を利用することなく収集できる証拠は多数存在します。また、弁護士法23条の2後段は「申出があった場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。」と定めており、必ず申立が認められるわけではありません。講師から、弁護士会照会の制度、相続事案において弁護士会照会を利用すべきケースとその必要がないケースなどについて、具体例を交えながらお話しいただきました。
司法書士 筒井 孝志先生から、最近の判例・先例が登記実務に及ぼしている影響を中心とした相続に関する登記事例等をご紹介いただき、相続人の確定・被相続人の同一性・遺産分割協議・相続分譲渡・判決による中間省略登記について、事例に即した着眼点や留意点、代理人活動等における注意点をなどをお話いただきました。
弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、相続についての実務的な事例について取り上げました。 いわゆる清算型の遺言、言語障がいがある方の遺言について、作成上の留意点等を含む、様々な、論点について、議論をしながら、経験を交流しました。
八杖友一弁護士(第ニ東京弁護士会所属)に、遺言作成の実務上の留意点について、ご講演をいただきました。
八杖友一弁護士に加えて、愛知県弁護士会研修センター運営委員会専門部会のチーム員である近藤雅樹弁護士、森川聖也弁護士をパネラーとして、遺言を巡る諸問題についてのパネルディスカッションを行いました。
神戸大学大学院法学研究科 窪田充見教授
② パネルディスカッション
100名の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、相続についての実務的な事例について取り上げました。 その他遺産の評価や遺留分についての検討を含む、様々な、論点について、議論をしながら、経験を交流しました。
愛知県弁護士会の竹内裕詞弁護士と、小木曽正人公認会計士・税理士、丸山洋一郎司法書士とでパネルディスカッションを行っていただきました。
信託とは、財産(信託財産)を持っている人(委託者)が、自分が信頼できると思う人(受託者)に財産を託して、自分が決めた目的(信託目的)に沿って、自分が利益を与えたいと思う人(受益者)のために、財産の管理処分をしてもらう仕組み、を指します。
家族信託とは、信託の制度を利用して、自分自身や家族の生活を支援したり、財産の承継をしたりするための枠組み、を指します。
家族が受託者になり、業として信託事務を行うものではなく、家族信託を隠れ蓑として、受託者が丸投げをして、実質的に業として信託事務を行えば違法となるなどの注意点の指摘がありました。
後見や遺言等には制約があり、後見ではできない財産の運用・処分を行ったり、遺言ではできない変更不能な遺言や後継ぎ遺贈を行ったり、株式(自社株)の信託により、当事者だけの合意で議決権と財産的権利の分離を行うことが出来る場合があります。
その他、家族信託利用の際に留意すべきことや信託口口座設置の注意点、信託についての課税関係の説明がなされました。
次の各実例について、家族信託について、注意点などを検討しました。
実例①(自宅の売却に備える)
相談者(配偶者は死別、子は2人)は、自宅と現金500万円を所有しているが、将来、相談者が施設入所や入院した場合には、自宅を売却処分したいという意向を持っているケース。
実例②(変更できない遺言)
実例③(底地の信託)
会社社屋の底地は、会長の個人所有であるが、相続により底地が共有になることを避けたいケース。
実例④(受益者連続型信託)
Aが、まずAが死亡した時点ではBに承継させ、その後Bが死亡した時点でCに承継させたいと希望しているケース。
100名の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、相続についての実務的な事例について取り上げました。 使途不明金への対応について、具体的な事例をもとに、様々な、論点について、議論をしながら、経験を交流しました。
大阪弁護士会の藤井伸介弁護士を迎えて講義とパネルディスカッションを行いました。
昭和の時代はとにかく調停を申し立てれば取り扱われてきたが、現在は審判の準備という意味合いが強い。審判で判断できない事項は調停では3回くらい付き合ってくれるが、それ以降は訴訟をしてくださいと言われてしまう。審判についても、調停段階で準備がなされて審判は早期に判断されてしまう。付随問題はいわば切り捨てられてしまう運命にある。そのなかで、どのように対応すべきかの講義をいただいた。
特に、最高裁H28.12.19の大法廷決定では生前に引き出された預貯金については遺産分割の対象外になっている。そのため、預貯金を生前に引き出そうという動きが強くなってしまい、ますます使途不明金の比重が大きくなってしまうという懸念からの様々な問題について講義をいただいた。
続いて藤井伸介先生に加え相続専門研修チーム員の森澤史郎弁護士と安田昂央弁護士にてパネルディスカッションを行いました。
●生前の使途不明金問題
不当利得か不法行為かは?訴訟上立証できる事実がどうかによるが、不法行為を主にしていけば、不当利得は大体立証されるようにもおもわれるがどうか。
H28.12.19最高裁大法廷前では生前に特別受益をもらった人は、預金は遺産の範囲でなかったので預貯金を請求できるが、大法廷後は特別受益を考慮されるので預貯金の請求がその分できなくなる。そのため、生前に預貯金を引き出すという、横領という刑事事件に発展しかねない動きが助長されるのではという危惧はないのか。
使途不明金についてはどのような流れで行うべきか。遺産分割調停申し立て前に訴訟で解決すべきなのかどうか。
使途不明金が解決されず遺産分割がなされる。その後訴訟しても贈与の主張がなされる。調停の遺産分割で使途不明金が特別受益で評価されず処理されてしまうという懸念についてどうすべきか。
●引出行為
名義預金や借用預金で口座履歴の開示は難しいがどうすべきか。預金債権確認訴訟等で裁判所の調査嘱託をどこまでしてもらえるか。具体的事案での状況。
●引出権限
不法行為の請求原因か抗弁かといった立証責任をどう捉えるかの問題について。
●使途
実際は使途により権限が変わるので、被告に使途を明らかにするよう裁判所に釈明を積極的にしてもらえると良いが実際はどうか。
●相続開始後の使途不明金
H28.12.19大法廷後も影響しないということに。法制審議会で議論しているのは、その人が取得したとみなすという制度を作ろうと議論されている。実務上は先行取得論によって、先に遺産を取得したということを前提に処理されることはあるのか。
続いて藤井伸介先生に加え相続専門研修チーム員の四橋和久弁護士と菊田絵美弁護士にてパネルディスカッションを行いました。
●葬儀費用・墓地埋葬関連費用
審判対象外だか遺産分割調停の中で一緒に議論してもらえるのか。
葬儀費用はどこまでか。名古屋高裁裁判例H24.3.29での葬儀費用の定義、死者の追悼儀式に要する相続税基本通達13-4.5の解説。墓地の取得費は名古屋高裁の基準では当たるのか?
大阪地裁H14.7.3葬儀の後に仏壇の購入費は遺族がこれを使用するとこは自然な行為であるので、被相続人の貯金を解約し仏壇の墓石の法定単純承認に当たるとは断定できないとされている。この判例を一般化できるのか?
●葬儀費用負担者
喪主負担説、相続人共同負担説、相続財産負担説、慣習・条理説のいずれの説になるのか?
●祭祀承継者
民法897
被相続人による指定→慣習→家庭裁判所
遺産分割調停で3回くらいで解決できないと調停申し立てしてほしいと言われるがどうすすめるべきか。
申し立てると、期日を一緒に開いてもらい、併合審判してもらうこともできるのか。
遺言に書いてあればはっきりする。そうでない場合に、被相続人の指定や慣習の有無について争う場合は訴訟事項(祭祀主催者の確認訴訟)になるのか?
最初から家庭裁判所の調停をおこし、被相続人の指定による祭祀主催者の審判を出せるという裁判例についてはどうか?
(福岡小倉支部H6.9.14)
●祭祀財産
祭祀の飾り:特定して写真を出して目録をつけて審判の対象にして、評価もつける
→祭祀財産と主張すると裁判所は訴訟でやってくださいといわれてしまうというリスクについて
●遺産収益の分配
賃料など。
遺産と別の財産になり各共同相続人の相続分に応じた確定的な分割債権(最高裁判例H17.9.8)についての、解説。
この相続分は具体的相続分を排除する意味なのかどうか。
法定相続分だけでなく指定相続分も含まれると最高裁判例解説に記載されていることについて。
賃料収入がいくらか何人いるかわからない。そういう時に訴訟をする場合のやり方。
●事務管理費用や税務申告費用について相殺の抗弁を出された場合
最高裁H22.1.19全額自己の収入として納税した場合、他人の事務管理にはならないとの判例解説
●占有利益について
家を無償使用している場合、占有利益として、自己の持分割合の賃料相当額損害金の請求ができる(H12.4.7最高裁判決)
ただし、相続財産の場合は、生前から使用貸借関係があるのなら遺産分割完了までは無償で使用させる合意があったと推認される(最高裁H8.12.17)といった判例の解説。
●収益の確保について
駐車場の帰属が明らかにならず賃料を供託してもらうことになり、みんな面倒なので解約してしまった
→遺産収益の散逸を避けるために生前にしておくべきことは?
●金銭債務と相続財産
金銭債務は相続財産とは別(最高裁S34.6.19)
紛争にならない場合は一緒に解決出来るが、そうでない場合、調停で解決つきにくい。事業用財産での債務は事業用財産の承継者のみが負担すると文書で確認したりする。
ただ、審判の場合は債務は無視されるのか。抵当権の不動産も無視されるのか。
相続人間の協議は債権者には対抗できない(H21.3.24最高裁)との判例解説。
金銭債務が連帯債務の時は、相続分に応じて承継する。実際の審判の場合、連帯債務が差し引かれるのか。連帯債務が訴訟になるとか他の連帯債務者が破産するとかがなければ、連帯債務を無視して審判がなされる可能性があるのでは?不可分債務や保証債務も審判では無視されるのか。
債務超過している相続の際に、金融機関は全員の合意をしてほしいということで、遺産や事業の債務は妻が全部負担するとして遺産分割協議をして銀行に届けたが、破産した場合はどうなるのか?銀行は相続人に請求してしまうのか?
限定承認の制度や法制審議会での議論状況
100名の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、相続についての実務的な事例について取り上げました。
名古屋地方裁判所民事第2部部長 片田信宏裁判官に講義をしていただいたあと、パネルディスカッションを同片田信宏裁判官と
相続については、遺産の財産評価が重要になってきます。その中で、最も価値の高いことが多い土地の評価基準について、税務と具体的な事例に基づきディスカッションをいたしました。
1 講演
筒井孝志司法書士、三浦伸司法書士から相続と登記についての講演が行われました。
150名の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、遺言書について取り上げました。
相続案件において、遺言執行の段階で適切に対応するのは極めて重要です。遺言を残しても執行が出来なければ、遺産を現実に取得することが出来ません。遺言内容が不十分であると、紛争が起きる、むしろ、その遺言の存在が故に紛争が起きてしまいます。
遺言執行の判決を行う裁判官も、公正証書を作成する公証人も、ほとんどが、遺言執行者になった経験はありません。遺言執行者ないし遺言執行者の代理人になる弁護士として、遺言執行者の立場を踏まえ、遺言を残していかなければいけないといえます。信託銀行が遺言執行者になっている事案においても、相続人間に紛争が発生した際は、信託銀行は、辞任をすることも多く、また、後任の遺言執行者も選任されないまま、相続人が財産を処分してしまうケースもあとをたちません。
弁護士が遺言執行者として、関与していく重要性が高い中で、弁護士自身遺言執行についての問題を把握していく必要があります。
大阪弁護士会遺言相続センター副委員長である藤井伸介弁護士に講演をいただきました。
遺言の無効主張をされた場合、遺言能力の調査を遺言執行者として積極的にすべきであり、その際、どのような調査をすべきであるか。調査ののち、有効と判断できた場合、内容証明を送って1ヶ月の期限を区切り執行を進める手法の工夫について。
遺留分減殺請求権が行使された場合の対応について、現在の最高裁判決では遺留分侵害の範囲は遺言の効力が認められない物権的効力があるとされているが、侵害の範囲をどのように定めるのか。東京高裁の判例によると遺留分減殺請求が行使されたことを遺言執行者が知った上で遺言執行をした場合、そのこと自体、遺留分侵害があるとされており、これについてどのようなリスクがあるのか。民法改正は、この点についても検討されているが、この趣旨は何か。
相続させる遺言と遺贈の違いについて、遺贈は民法に明記されているが、相続させる遺言の効果は最高裁の判断になされている。この最高裁の判断は、相続により承継すると明記するとされており遺贈と異なり意思表示によって承継するものではないとされている。このことから、どのように、また、どうして効果が異なってくるのか。
特定の不動産を相続させる旨の遺言をした場合、遺言執行者の現在的な権限の範囲にならないので、報酬の範囲に含まれないので、遺言執行者となる信託銀行の報酬を膨らませるためあえて、遺贈とする遺言を作り、このため相続人が受贈者に放棄を強要したため、紛争が発生したケース。
その他、様々の問題点について、詳しくご講義いただきました。
150名以上の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、事業承継について取り上げました。
相続専門研修も2年目になり、研修内容もさらに専門性の高い研修となりました。名古屋家庭裁判所の協力をいただき、かなり踏み込んだ研修内容となりました。参加者も、当地区最大規模の約320名にもなりました。
療養看護型の寄与分は、弁護士から見るとなかなか認められることが難しい。認められるとしても幾ら評価されるのかがわかりにくいと言われています。
冒頭に専門部会チーム員の酒井伸彦弁護士からの解説のあと、名古屋家庭裁判所家事部部長永井尚子裁判官を迎えて、熊田登与子弁護士、石川恭久弁護士をパネリスト。コーディネーターとして坪内友哉弁護士にて、療養看護型寄与分についてのパネルディスカッションを行いました。
半年、数ヶ月の療養看護でも評価されるのか。日額の評価基準として介護保険の額を用いるのか。相続人自身は全く介護をしておらずその配偶者のみが介護をした場合、寄与分として認められるのか、その法律根拠は。職業介護者ではない場合、0.7とか0.8とか調整額をかけるのは妥当なのか。要介護2以上でなければ認定されないのか。どこまでの証拠があれば認定出来るのか。
通常の文献には書かれていないケースについてまで、相当踏み込んだ議論がなされました。療養看護型寄与分についての理解が進みました。この研修の準備にあたり、裁判所と10回以上打ち合わせを重ね、裁判所の考え方を十分に理解した上で踏み込んだ議論ができるようにしました。相当画期的な研修となったのではないかと自負しています。
遺産分割の調停は、相続に関わる弁護士は、常に行うものですが、調停が実際、どのように決められていくのか。裁判所と調停委員がいつどのくらい評議を行うのか、弁護士以外の調停委員もいる場合に、工夫すべきところはないのか。調停委員は当事者から出された書面をいつ読むのか。調停委員を経験しないとなかなか知りえない情報です。
150名以上の弁護士が、20人ずつのグループにわかれ、それぞれ、事例検討会を行いました。今回は、事業承継について取り上げました。
相続問題に対応するために、税理士の方との連携も重要です。税理士法人エスペランサ吉田博幸先生からの詳細な説明と、そのあとの同吉田税理士、藤本慎司税理士と、森戸尉之弁護士、坂口斗志弁護士とのパネルディスカッションでは、具体的な事例に基づき、弁護士の発想と税理士の発想の違い、税法、民法を踏まえた、対応方法について研鑽しました。
⑴暦年贈与⑵子ども、孫の生活費、教育費の負担⑶教育資金の贈与⑷結婚、出産、子育て資金の贈与⑸住宅資金の贈与⑹相続時精算課税⑺おしどり贈与の活用などの議論、具体的にどの程度の手法での税効果があり、法律上、どのようなリスクがあるのかの議論がなされました。
事業承継については、円滑な承継のために、法務上、税務上たくさんの問題があります。弁護士、公認会計士、税理士の連携のもと、対応していくことが重要です。まず、原武之弁護士に、事業承継事例で考える法務上、税務上の留意点につき、ご講演いただきました。種類株式の手法や会社分割、事業譲渡の手法などのメリット、デメリットについて、ご講演をいただきました。
そのあと専門研修チーム員佐々木保臣弁護士をコーディネーターとして、原弁護士のほか、株式会社ワンズブレイン・パートナーズの遠藤彰一公認会計士、佐々木康行公認会計士を交えたパネルディスカッションを行いました。
具体的な場面を前提に、無議決権配当優先株式の利用、非上場会社の株式の評価額の手法の議論をしました。また、時間をかけながら承継させる場合の、属人的株式をもちい、オーナーが1株、息子が499株取得し、オーナーの株の議決権を当初1株あたり2000個の議決権という属人的株式として、年々1000個、500個、300個、1個と減らしていく手法の紹介がありました。定款変更は必要だか、種類株式と違い、登記事項ではないので、外部に知られずに、承継ができること、拒否権があるだけの黄金株よりも会社経営として使い勝手もよく、段階的承継も可能であるので、ケースによって使える手法との議論がなされました。
また、会社分割の事例では、濫用的会社分割とならないような工夫や、適格分割、非適格分割の違いの中での課税関係などについても、議論が行われました。設立時期と課税関係の問題もあり、書類不備で受け付けられないというミスがないように司法書士との連携の大切さも語られました。
弁護士20人程度を1組として、ゼミ形式で、具体的な事例について検討会を行いました。
今回は、具体的な相続の事例で、遺言能力についてどのように事情聴取していくか、問題が生じないための調査方法、証拠化の方法、また、具体的な相談や交渉のスキルについての意見交換がなされました。
相続専門研修第3回は、遺言能力についての研修を行いました。高齢になってから遺言を作成することが多いことから、遺言を残す際に、その判断能力が低下してしまっているという遺言能力の問題が生じることは非常に多いです。このテーマについて、医師、公証人の方を交えて研修を実施しました。これも、非常に興味深いテーマであり、300人を超える弁護士が参加されました。
前半は、認知症の専門医である尾張北部医療圏認知症疾患医療センター・センター長の柴山漠人医師を招いて、認知症とは何か、認知症の原因疾患等についての講演をいただきました。また、研修チームの安田昴央弁護士から遺言能力についての発表を行いました。
後半は、柴山医師、高齢者・障碍者総合支援センター運営委員会委員山下陽子弁護士、研修チーム髙野和幸弁護士を交えて、遺言能力についての気づき、確かめる、証拠に残すという各点についてのパネルディスカッションを行いました。
前半は、元福井地方・家庭裁判所所長で現在葵町公証役場の岩田嘉彦公証人を招いて、遺言無効確認請求訴訟において、特に遺言能力の有無が争点とされた場合を想定した主張・立証方法について講演をいただきました。また、研修チームの四橋和久弁護士から、遺言無効確認訴訟についての発表を行いました。
後半は、岩田公証人、高齢者障害者総合支援センター運営委員会委員安積孝師弁護士との間でディスカッションが行われました。遺言能力の有無の判断や、遺言能力に問題がありそうな方が公正証書を作る場合の対応・工夫についての議論がなされました。
弁護士20人程度を1組として、ゼミ形式で、具体的な事例について検討会を行いました。
今回は、具体的な相続の事例で、不動産、動産、非公開株式等の評価の手法、税務上の評価の手法との違いについて、また、具体的な相談や交渉のスキルについての意見交換がなされました。
相続専門研修第2回は他仕業との連携を図るべく、相続税、事業承継をテーマに研修を行いました。相続税の改正があることもあり、また、事業承継についてという、興味深いテーマでもあったことから、今回も、300人を超える弁護士が参加されました。
相続税の改正を踏まえ、弁護士業務を行うに当たって注意すべき相続税の問題について研修を実施しました。
前半は、名古屋国税局課税第1課 資産課税課 審理専門官の野村徹様に講演をいただき、研修チームにて、相続税の全体像、相続における弁護士業務と税務のタイムスケジュールについての研究発表を行いました。
後半は、野村様に加え、鈴木典行弁護士、研修チームの樋田嘉人弁護士、葛西良亮弁護士を交えてのパネルディスカッションを行いました。
事業承継を円滑に行うことは、法律解釈や実務上の工夫、会社法や税法等の知識等の総合的な知見が問われるところです。そこで、弁護士と税理士の方との連携を図るという意味合いもあり、両者による研修を実施しました。
前半は、山田尚武弁護士、税理士法人トーマツ樋口亮輔税理士による講義、および、研修チームによる非上場株式の株価評価に関する裁判例の研究報告を行いました。
後半は、山田弁護士、樋口税理士に加え、加藤裕介税理士、研修チームの田中紀子弁護士を交えてのパネルディスカッションを行いました。
弁護士20人程度を1組として、ゼミ形式で、具体的な事例について検討会を行いました。
今回は、具体的な相続の事例で、どのような手法で、相続財産の探索を行い、また、寄与分や逸失利益の主張をどうするのか、また、具体的な相談や交渉のスキルについての意見交換がなされました。
相続専門研修第1回であったこともあり、開会にあたり、愛知県弁護士会会長のあいさつから始まり、当地区の研修としては最大規模の400人を超える弁護士が参加され、その実施の際も、TV局や新聞社も取材に来られていました。
相続案件において、相続財産の探索をすることは極めて重要です。相手が相続財産を隠している場合に、どのように探索していけばよいか、その手法についての研修です。
前半は、蜂須賀太郎弁護士による講義と、専門研修チーム員田中健人弁護士による他の法律事務所への探索手法についてインタビュー結果、自治体、金融機関その他の探索方法についての調査結果の発表がされました。
後半は、蜂須賀弁護士に加え、元弁護士照会調査室員である服部郁弁護士、研修チーム員坪内友哉弁護士とのパネルディスカッションを実施しました。
寄与分・特別受益は、実務家が一番関心のある相続の論点です。これを裁判所から見てどのように判断・対応すべきかについての研修です。
前半は、名古屋家庭裁判所丹下将克裁判官、同書記官による講義がなされました。
後半は、丹下裁判官に加え、高橋恭司弁護士と、専門研修チーム員の山崎拓哉弁護士、熊田健一郎弁護士、平田志野弁護士とのパネルディスカッションを実施いたしました。